看護師が転職を考えるとき

医療従事者の人手不足が深刻な問題となっている中で、現在看護師として看護の現場で活躍している現役の看護師の8割以上が、看護師の仕事を辞めたい、あるいは転職したいと考えているという統計結果は、なかなかショッキングなものです。
中でも深刻なのは、医療過疎地域と言われる場所での医師・看護師の不足です。過疎化している地方の問題はよく耳にしますが、その中でも特に深刻なのは島の医療における人材不足。都道府県の中で一番島を持つ長崎県は、孤島での看護師不足に悩んでいるようです。ネット上に溢れる看護師の求人が示すように、常に医療業界では人手が求められているのです。大都会と言える東京や大阪であっても、人口の絶対数に対する看護師の割合が低いことが問題視されています。
看護師が仕事を辞めたいと考える理由は一体何なのでしょうか。一番多いのは人間関係です。看護師も含め、医療現場には特別な資格を持っていなければできない仕事が多く、その資格を有しているがためのプライドが、人間関係の悪化を招くことがしばしばあります。
古来より仕事における人間関係の重要さは、孔子の教えの中でも何度となく論じられています。人間関係が円滑な仕事場は、どんな困難な状況も克服できるのですが、逆に人間関係のうまくいっていない職場では、ごく簡単な仕事ですら満足にこなすことができなくなるのです。
人間関係の問題は職場全体の問題ですが、一人一人の看護師が抱えている問題についても目を向ける必要があります。
先の通り、看護の仕事はとても重要で特別な仕事です。看護師はその仕事に対して誇りを持っています。しかし、その誇りに見合った充実感や達成感を得ることができない状態が続くと、やはりモチベーションが低下してしまうのです。これはおそらく、他の仕事でも同じことが言えるのではないでしょうか。
また、業務の大変さも原因とされています。世間では3Kなどという仕事があると言われていますが、看護師についてはそのKのつく仕事があまりにも多いのです。感染症患者の看護などはまさに命を危険にさらす仕事であり、一瞬の気の緩みが患者さんだけでなく、自分も含めた医療関係者の命を危険に晒すことにもなりかねません。
そんな中で、十分な待遇を受けていないと考える人もいることでしょう。看護師の給与は同年代の他の仕事をしている人と比較すると高額であると言われていますが、その金額が命をも危機にさらしながら行う仕事の内容に釣り合っているとは言えない現状があります。
こうした中で、同じような仕事でより待遇の良い仕事があれば転職したいと考えるのはごく自然の流れであると言えます。看護師の人手不足と人材の流動は、看護現場だけでなく国の医療行政が抱える重大な問題であると言えます。

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